■2005年3月の「絵てがみコラム」
 

昔々ある所に、風(ふう)ちゃんという真っ白い御きつね様のような犬がおったとさ。珍しい事にお風呂が大好きで、中型の紀州犬なのに犬としての自覚は無く、ほとんどリビングの一番TVに近いソファーでジャンボシュークリームを食べる生活を楽しんでおったのだ。
家族の一員として溺愛されていた風ちゃんも13年の人生(犬生?)を全うし、惜しまれてこの世を去った。末娘を失ったような父と母の悲しみ様は相当な物で泣き暮らしておったのだ。
そんなある日、不思議な事が起こった。リビングでバサバサという物音に気付いた父が見たものは、風ちゃんのソファーの後ろに何処から入り込んだのか真っ白な鳩!
「まるで、風ちゃんみたい……」
驚く二人をよそ目に、白い鳩はリビングを飛び出して庭の主の居ない犬小屋の屋根にとまった。しばらく二人のほうをじっと見つめてその後、何処へとも無く、遠く遠くへ飛んで行ったとさ。
実際にあった、村西家に伝わる風ちゃん伝説。

 

 
 
 

春めいてくると毎日のように個展や展覧会、新作発表の展示会の案内が届く。
日々の忙しさに行きたいな〜と思いながらも会期が通り過ぎてしまうことが多く、申し訳ない限り! 本当にわざわざ足を運んでもらう事の大変さやありがたさは自分のイベントの時になって、しみじみ感じる。

ただ今、千葉のスペースガレリアで「春展」開催中。アクセサリーの作家やガラス作家の小作品、楽しいオブジェなど十数人のクリエーターがギャラリーオーナーの人柄に集う。私も毎年MADAMADAMとして、ちょこっと参加している。
大量生産されたものとは違う自己主張が溢れていてこーいう企画展も楽しく、いい刺激になっている。

 

 
 
 

大好物のお好み焼きを、この時期春キャベツで作る。
一般的にはお好み焼きのキャベツは硬めのあまり水分の出ないものの方が良いと言われるけど、ホットプレートでちょっとフタをして蒸し焼き風にするとキャベツが一層おいしい。
一番好きなのはシンプルに豚玉。青ねぎと長芋少々、かつをぶし、天かす、紅しょうが。牛乳と卵多めが私流。
春キャベツはザックリ荒めに切っても大丈夫、コテであまり押さえないでふっくら厚めに焼く。キャベツの甘さを実感出来るので大き目の芯も平気で入れちゃう。アツアツホクホク、旬の味!

 

 

 

 

2月末、旅の雑誌の取材で軽井沢を訪れた。
高校時代の夏休みに遊びに来て以来、ずいぶん久しぶり。
夏のにぎわいとは別世界、旧軽銀座もほとんどの店が閉まっていて観光客もまばらだ。
脇道に入ると朝の陽射しにひざ下くらいまでの残雪がキラキラ光って静まりかえっている。別荘の庭も足跡のない雪が境界線を越えて広がっている。
ふりかえると前後左右誰もいない……。
時々、枝から落ちる雪の音だけが響いて怖いくらいだ。
黒いコートを着て挙動不審な女がひとり、たまに通りかかる車に、熊と間違われていないかと内心ドキドキしたりして。

 

 
 
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