■2006年12月の「絵てがみコラム」
 

旅の最終日、考古学博物館を堪能した後サンタルチアの海沿いの眺めの良いトラットリアでランチでも…とマリーナの方まで元気良く歩いた。海を眺めていると船に乗ってみたくなった。カプリ島迄行ってランチなんちゃって…って思った途端、5分後に出航するチケットを買っていた。
そもそも思いつきで唐突にやってきたナポリ。おまけにカプリもいいじゃないか!高速船で45分シーズンオフの静かな港に着いた。断崖に白い小さな家が段々に連なり可愛いフニコラーレ(ケーブルカー)が頂上まで導いてくれる。やっぱり有名な高級リゾートアイランドだけのことはある!なるほど、美しい!綺麗な絵タイルの時計台。島の頂上はまるで素敵なバルコニー。
ナポリ側から見た光景とは又全然違うリゾートらしい白い透明感のある風が吹いていた。
念願通りボンゴレビアンコと小いわしのマリネ、ピザカプリチョーザ(これってカプリと何か関係があるのかな?って思ったけど聞けなかった…後で調べたところ、カプリチョーザとは気まぐれという意味でカプリ島とは関係ないみたいですね)で。ちょっといい感じのカプリランチをして白い迷路のような道を港へと歩いて下りることにした。シーズンオフに加えて、そーだ!シエスタだ。2時ごろから5時ごろまでお店はみんな昼休み。すれ違うのは猫くらい。ピンクのブーゲンビリアが咲き、レモンの木があちこちに。レモンが木になっているところなんか初めて見た。
絵になるな〜この角もこの角も。絵手紙のモチーフはすぐに決まった。わずかながら思いがけないカプリ観光もプラスしてナポリの港に戻った。夜はナポリの家庭のクリスマスパーティーにご招待という楽しいプランで締めくくられた。家庭料理のもてなし、歌やゲーム。ナポリイメージアップ大作戦のスペシャルツアーに参加した私は本当にラッキーでナポリ現地の人たちの温かなホスピタリティーに感動することづくめだった。
楽しい思い出を一杯持って、イタリア蛙も4匹連れて無事帰国した。

今年も色々お世話になりました。絵てがみコラムも愛読いただきありがとうございました。
来年2007年もどうぞ宜しくお願いします。

 

 
 
 

ガイドブックによるとナポリ中央駅は治安最悪要注意。緊張の中にも冬晴れに誘われてヴェスーヴィオ周遊鉄道に乗り込んだ。ツアーバスではなく、落書きだらけのローカル列車にこだわって右に地中海(正しくはティレニア海)左にヴェスーヴィオ火山を見ながらポンペイまでの40分足らずの小旅行を楽しみたかったのだ。
ポンペイの遺跡はまだ来場者も少なく、怖いくらい静かな石畳を登る。ポンペイはあまりにも有名で世界遺産を紹介する写真やテレビで、もう何度も見てガイドできる位知ってるつもりでいたが、実際のスケール感と古代都市の熟成度に圧倒される。
紀元79年8月24日、2000年近く前の事だ。古代ローマで最も栄えた活気に満ちた町の一つだったポンペイ。ヴェスーヴィオ火山の噴火で一日にして町がすっぽり火山灰に埋もれた。ここはメインストリート馬車の車輪の跡がくっきりと残る。飛び石は横断歩道。パン焼きの窯はピザの石窯と変わらない。大きな劇場。円形闘技場。歓楽街もある。瞳を閉じればその角から映画ベンハーのような、いでたちの人たちが(すみません!例えが古いというか貧困というか…)出てきそうだ。居酒屋で酒を飲み交わし、公衆浴場で女達が談笑している様子が目に浮かぶ。昨日の雨で濡れた草や木々が青々と光っている。日陰の苔も水を含んで生き生きとしている。死に絶えた都市なのに今生きているものの呼吸との、その鮮明な対比が不思議な感覚に誘う。
5時間近くその幻覚のような町のざわめきを感じながら時間の止まった古代都市を彷徨いナポリの町に戻った。明日はこのポンペイの遺跡から出土された様々なものが収蔵されている、国立考古学博物館に行ってみよう。そのざわめきがもっとはっきり聞こえてくるに違いない。

 

 
 
 

東京より暖かいヨーロッパでクリスマス気分を味わえる、しかもナポリだけ4泊6日というちょっと個性的なツアーを見つけて即参加を決めた。
ほとんど自由行動ばかりの日程だがいくつかユニークなプランが盛り込まれていた。
その一つがモッツァレッラ・チーズの工場見学と手作り体験だ。
モッツァレッラとはちぎるという意味で、日本で食べても正直ぷる〜んとしたオバQのようなルックスがかわいいだけで、味もなくあんまりおいしいと思うことはなかった。
しかしやっぱり本場の「ほんまもん」は違う。まるで昔の豆腐屋さんとか湯葉をつくる作業場のような光景。ナポリでも手作りはもう珍しく小さな工場で白い長靴をはいた職人さんがひとつずつ熱湯で育っていくチーズを文字通りモッツァレッラしていくのだ。職人さんたちの手は真っ赤! 私たちには少し冷ましたものをモッツァレッラ体験させてくれた。
なんともいえない感触を笑いの中で体験。その後の試食も盛り上がった。
まだ温かいポヨヨ〜ンとした弾力の中にチーズの旨味のようなものが溢れて「ボ〜ノ。ボ〜ノ(おいしいおいしい!)」なのだ。
そんな出来立てチーズを使ったピザ・マルゲリータ、ナポリはそのピザの発祥の地でもある。街のあちこちにピザ屋さんはあり石窯で香ばしい香りを漂わせている。ピザ生地の広げ方も体験したがこれも見るとやるとでは大違い。全然出来ない。一人不恰好な少々淵の分厚いピザを責任とって食べる羽目になった。

 

 
 
 

ヴォメロの丘の上に建つサンテルモ城、その要塞の上からの眺めは素晴らしく思わず手を広げて「わ〜すごい…」と、一言。有名な「ナポリを見て死ね」という言葉が本望とか達成感とかの意味を持つ言葉なんだろうと容易に解釈できる。
遠くソレントの町がかすみの中にうっすら姿を残し海岸線がフェイドアウトしている。一際目立つのがヴェスーヴィオ火山、その裾野がポンペイだ。手前には時代を刻んだ朱色のナポリ旧市街が広がる。
すごく突然、唐突にナポリに行ってきた。イタリア第三の都市ローマの南,おいしいピザで有名な港町だ。ギリシャ人の植民都市として古くから栄えたが、北イタリアの経済成長に取り残され、失業者も多くスリなどの犯罪も多い怖い街としてのイメージが強い。イタリア周遊のツアーでもほとんどポンペイやカプリ島への観光の通過点でじっくり滞在するプランのツアーはほとんどない。確かにこのわき道には入らないほうがいいな〜と肌で感じる暗さがあり、お世辞にも美しいとは言いがたい洗濯物がたなびく路地やゴミだらけの駅前、どきどき緊張しながら歩くこともしばしば。
でもバールやピザッテリアのざわめき、クリスマスの飾り物を売る仲見世のような賑わいのすぐ隣りの静かな教会。スパッカ・ナポリと呼ばれる下町にはナポリの魅力が潜んでいるぞ…という感じ。短い旅行だけどナポリのいいとこ一杯感じたい!そんな旅のスタートです。

 

 
 
 

どうやら私は標準より少し手が長いらしい。大概の服の袖が短いのだ。何度も洗濯をしたセーターならなおさらで、それでなくても短かった袖が…コートとの袖の間にわびしく隙間風が吹き抜ける。
ゆったり袖の長い服にめぐり会えると幸せで豊かな気分になるのですが、それがなかなか。そんな短い袖の救世主がアームウォーマーなのです。
最近はちゃんと親指の穴があいていて手の甲迄暖かく、ファーが付いたものやアクセサリー感覚のおしゃれな製品があるのですが、そういうのを見つけられなかったころは、着なくなった別のセーターの袖を切って自分で「袖だけセーター」を作ったり、別の色の袖と組み合わせて「伸びた袖セーター」を作ったりしていた。
でも今年はちょっと色の鮮やかなアームウォーマーを見つけた。エキゾチックな色合いのいろんな編み方が混ざった表情豊かな「袖だけセーター」だ。
黒いセーターの袖としても茶系のセーターの袖としても似合いそうで重宝しそうだ。
結構エコロジーなおしゃれと実益を兼ねた優れものだと思うんだけど流行の気配はない。やっぱりみんなは袖が足りているのだろう。

都合により次週の絵てがみコラムを一回お休みします。
その次の週をどうぞお楽しみに〜。

 

 
 
 

知人の知人が恵比寿にチーズバーをオープンさせた。7〜8人で一杯になりそうな店内にど〜んとお寿司屋さんのようなチーズねた?ケース。好みを告げると見繕って盛り合わせてくれる。
ワインのブームやおいしいイタめし屋さんの台頭でいろいろなチーズが身近になってきた。昔チーズと言えば6Pチーズとスパゲティーナポリタンにかける粉チーズくらいで、かびだらけのチーズというものに慣れたのも最近の事だ。最初は口にするのもためらわれた青かびチーズ、「世界3大青かびチーズの中でも羊の乳でできたロックフォールはいいよー!」とシュバリエ(フランスチーズの鑑定騎士)は語る。他の2つはスティルトンとゴルゴンゾーラ(これはよく耳にするよね)フランス南部のロックフォール村の洞窟で熟成されたちょっぴり刺激のあるマニアお薦めの一品だ。贅沢だけどピザにちょっぴり乗せるとぐんと本格的な味になる。
ワインはたしなめないので、コーヒーに合うチーズをこれから模索しようと思う。

 

 
 
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