■2007年9月の「絵てがみコラム」
 

右に左に南に北に独自のルールで爆走するバイク、観光客を乗せた真新しいワゴンタクシー。その間をすげ笠に天秤棒を担いだ物売りの女性が悠然と渡って行く。活気に満ちたベトナム南部の商業都市ホーチミンの一日が始まる。フランスコロニアル様式の優しい色使いの建物とアジアらしい暮らしのミックスをこの目で見たいと成田から6時間ホーチミン市にやって来た。
ベトナムは多くの国と国境を接しているために古来から周辺国の影響を強く受けてきた。ガイドさんの話によると現在でも国民の8割が仏教徒とのこと。
ホーチミンでは19世紀後半からのフランスの統治時代に建立されたサーモンピンクの美しいサイゴン大教会が市のシンボルとなっている。博物館や市民劇場やホテルなどコロニアル建築が点在して景観を作っている。
絵は中央郵便局。街の雑踏の中で美しいドレスを着たフランス人形の様に感じられる建物が、他と奇妙な調和を保って現役の名所となっている。
ガイドの男性は「フランス時代の建物とても綺麗。とても大切。人の顔の彫刻、とても美しい。郵便局の中もとても素敵。写真とりましょう!」と案内する。海外旅行をした国々で郵便局の中で記念写真を撮ったのは初めてだ。フランス時代の建物を大事にしているのはホーチミン市民の自慢だという。納得出来る美しさだった。
サイゴン川を見下ろせる有名なマジェスティックホテルのテラスで紅茶を頂く。ベトナム戦争当時報道カメラマン達の本拠地となったり、映画や記録スチールで何度も見た事がある場所だ。当時ここを行き交った人々に思いをはせる。
セピア色の写真に少しずつ色をさすように現在のサイゴン川に目を落とす。
向こう岸から多くのバイクに乗った人々を乗せてまた船が着いた。そして勢いよく街に流れ込んで行った。

 

 
 
 

暑さ寒さも彼岸まで…とはよく言ったもので…という決まり文句で始めるはずが、何なんでしょう!? この暑さは!炎天下のもと2日続けてお墓参りに行ったら、すっかり夏ばて。熱中症のような症状に一晩苦しめられました。本当に駄目押しのような残暑でしたね。
実は今、10月7日に開催される「かえる秋祭り」に参加出品する為の新しい「蛙柄」?をデザイン中。うつろな瞳とひょうきんな表情の蛙達を描いているうちにタイトルを「NATSU BATE KERO」に決定!
あまりに暑かった今年を象徴するお気に入りのマイキャラクターになること間違いなし!なんだかなごめるな〜と自画自賛しながらひとりでニヤニヤ…。
「かえる秋祭り」は深川江戸資料館のレクホールで10月7日に開催されます。蛙マニアによる蛙マニアの為のイベント(入場無料)ですが、「深川江戸資料館」(入場料300円)は江戸時代の下町深川の町並みを再現したもので一見の価値があります。近くには清澄庭園など散歩コースとしてもいいところです。

 

 
 
 

夏の疲れが出たのか、なんとなく毎日だるくたくさん寝てもまだ眠い。幾分涼しくなったな〜と思っても湿度が高いせいか蒸し暑い日が続いている。
なんとなく気分がスッキリしないときは雑誌を買い込む。秋のファッション、グルメ旅、秋色フラワーアレンジメント…実際はページをめくっているだけでちょっと、うわの空。コンサートや旅行の楽しい予定もあるけれど、今週は友人の病気入院の話を聞いたりしてかなり落ち込んだ。仕事や家庭や友達や健康のことや…いろんなことを一気に考えさせられる出来事でもあった。答えなんか出ないし、ほとんど力になれることもないかもしれない。心の痛みを自分の事のように考えては、次の瞬間には日常に埋もれて他人事になっている。
でも。時々辛い病気と闘わなくてはいけない友達の不安を考えたら胸が一杯になってしまう。雨が降っていても空が青くてもちょっと寂しい。
負けないで! 負けないで! と日常の隙間に心の中で叫んでいる。
色々人生について考える秋の入り口。

 

 
 
 

疲れがたまったり、予定のない午後は温泉が良い…といっても遠くに出かけるのではなく、ひと駅隣りの後楽園ラクーア(ちゃんと天然温泉が湧いている)。露天風呂やジャグジーや足湯を繰り返してリクライニングシートでテレビを見たり雑誌を読んだり、5〜6時間一人でたっぷりのんびり過ごす。2〜3ヶ月に一度のマイパラダイスだ。さらに、525円プラスするとヒーリングバーデというサウナフロアに専用室内着を着て入る事ができる。そこから眺める夜景が好きだ。東京ドームと遊園地の明かりが美しく、ジェットコースターの悲鳴が静かに響く。都会の夜だな〜と、しみじみ…そのサウナフロアにはあまり熱くない低温サウナの部屋がいくつもあり、気持ちよく汗を流せる。
そんな一角にひんやりしたお気に入りの小さな部屋「私のプチ隠れ家」があるのだ。そこには丸い水槽だけ。ぷかぷかゆらゆら、くらげが浮遊している。
大きいのは手のひらくらい、小さいのはプリンのカップくらい。15〜6匹…っていうのかな〜? 乳白色でひらひらしててオーガンジーのリボンのような、手のような足のようなものを伸ばしたり縮めたり、眺めていると肩の力が抜けていく。何も考えずにポカーンと眺めていると自分の間抜けな顔が水槽に映って益々肩の力が抜けていく…。

 

 
 
 

あんなに忙しかったのに今年も夏痩せすることなく、秋を迎えようとしている。うだるような暑さも9月の声を聞いた途端さすがに力を失って退散しようとしているようだ。今年も残り3分の一、さてさてどんな後半戦にしましょうか?
個展を開催した事も有る馴染みの中国茶館も店を閉じ、とても寂しく思っていたのですが、そのお店のオーナーの提案で絵を描く会をやってみない?との話を頂き、月に一度位の感じで絵画教室というより身近なものを一緒に描いてみませんか?…という雰囲気の会をはじめることになりそうです。詳しい事が決まりましたら私のホームページでもお知らせいたします。私に出来るかな?と心配ですが楽しい秋になるといいな。
まずは茶系の大ぶりのネックレスを買ったのでこれの似合うファッションを考えよう!…夏痩せしなかったけど。

 

 
 
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