■2010年11月の「絵てがみコラム」
 

葉がすっかり落ちた柿の木には、きれいな色の実がたわわになっていて、いつ収穫するのかな?と人の家の庭が気になったり。緑の葉っぱの間からやたらにきれいな黄色の実がたくさん、ああ柚子だ!と気がついたり。晩秋の景色の中には色づいた果実がいろいろ登場する。
絵のモチーフとしても柚子はとても魅力的だ。ぼこぼこした実の質感や、鮮やかに艶のある葉とのコントラスト、鋭い棘もある。とても和風の果物で筆や墨との相性が良い気がする。食用としても日本での生産、消費はとても多く、最近特に柚子のど飴とか、マーマレード状にしてお湯を注いで、柚子茶として飲んだり柚子を口にすることも増えたような気がする。日本料理には、ほんの少し香りづけに使用されると何とも言えない高貴な香辛料となって、お料理を盛りたてる。沢山いただいた日にはお風呂に2~3個浮かせたり…ああ、なんて幅広く活躍する実力派の果実なんでしょう。私は柚子を結構本気で尊敬しているのである。

さてさて、先週の「かえる秋祭り」に続いて千葉のギャラリー・スペースガレリアでグループ展「はじめに額ありき」開催中です。(11/25〜12/5)詳しくはWHAT'S NEWをご覧ください。小作品を3点出展しております。
お近くの方、お時間がありましたらどうぞお立ち寄りください。

 

 
 
 

母と母の従姉妹たちの御供で、紅葉真っ盛りの箱根に行ってきました。何度行っても観光地のメッカ、美食・温泉・富士山の三拍子が揃い、その上、目にも鮮やかな見事な紅葉。定番の海賊船で芦ノ湖を渡り、大涌谷で黒ゆで卵を食べて、芸術の秋も満喫していただくべく、ラリック美術館にも案内しました。
選んだ宿は、いくつもある貸し切り露天風呂が自慢の静かな旅館。しかし、そこの貸し切り露天風呂は「隠れ湯」と言うだけの事はあって、竹藪の中の石段を少し上がって小さな木戸に鍵をかけて、自然の中に隠れるように?ゆっくり温泉につかる…。森の中に薪が焚かれ、ほのかな行燈の明かりの中で実にいい雰囲気…。だけどちょっと怖いくらい。母などは熊が出そうと言い出す始末。確かにこの秋、熊出没のニュースが相次いだ。熊が出て裸で逃げ出す光景を想像するとちょっと笑える。そんなニュース映像は見たくない!はたして熊は温泉に入るのだろうか?水は苦手じゃないよね?北海道の川で鮭を捕える姿を想像したり、動物園の白クマがプールに飛び込む姿を想像したり、気が付いたら母の横に同じようなサイズの黒い物体がお湯につかっている姿を想像したり、風情ある露天風呂でしばし大笑い!宿の人の情報によると、熊は出ないけどイノシシは出たことがあるそうで、でも柵があるから大丈夫…ってあんな細い木の柵じゃあ猪突猛進されたらひとたまりもない。貸し切り露天風呂、30分の時間制限を妙に納得したのである。
年配者の朝は早い。「お風呂に行こうよ」と母に起こされた。夜とは別の露天風呂で白々と夜が明けていくのを今度は静かに楽しんだ。

 

 
 
 

芸術の秋、今年も展覧会のご案内のDMがいっぱい!先日も銀座3件はしごしました。好天に恵まれて画廊巡りには最適、そんな合間にちょっと用事があって横浜へ。折しもAPECのための警備、厳戒態勢の最中、地下鉄や道路の交差点の角角に地方の警察から派遣されてきているおまわりさんがいっぱい!秋晴れの穏やかな日差しの中で違和感のある重々しさ。山下公園のほうに出てみると海にも海上保安庁の船が行ったり来たりの特別警戒中。色づき始めたイチョウの木の下ベンチでのんびり過ごす人たちとのコントラストが平和と危険の境界線を見るような不思議な光景だった。

■さて、今年は久しぶりに「かえる秋祭り」に参加します。11月21日(日)一日だけのマニアによりマニアのためのイベントです。
詳しくはWHAT'S NEWをご覧ください。

■11月25日(木)〜12月5日(日)まで千葉のスペースガレリアにて「はじめに額ありき」展に参加します。小さくて個性的な額縁を先にチョイス!その額からのインスピレーションで作品を制作するという、いつもとは逆のシチュエーションで16人の作家の競演です。お近くの方は是非足をお運びください。詳しくはWHAT'S NEWをご覧ください。
(私は25日・28日の午後に在廊予定です)

 

 
 
 

友達と待ち合わせをしたり、ちょっとブラブラしてランチをするなら最近はもっぱら丸の内だ。オフィス街独特な落ち着きがあってウィンド―ショッピングにはビルとビル、お店とお店の適度な距離が散歩としてもいい感じ。高級店が多いので本当にウィンドーを覗くだけ!…だけど。
先日、春にオープンした「三菱一号館美術館」を初めて訪れた。東京国際フォーラムの斜向え、きれいな洋館が無機質な高層ビルが立ち並ぶ丸の内の中で異彩を放っている。折しも「三菱が夢見た美術館・岩崎家と三菱ゆかりのコレクション」(この展示は11月3日で終了)の最終日前日滑り込みで鑑賞(招待券があるからと誘ってくれた友人に感謝!)NHKの大河ドラマ「龍馬伝」で岩崎家のルーツを視覚的に見ているのでその延長で見る「三菱一号館美術館」とその展示内容はこの美術館をまるごと楽しむ内容だった。
1894年(明治27年)三菱が丸の内に初めて建てた洋風の事務所建築で英国人建築家ジョサイア・コンドルによって設計されたもの。しかし老朽化のため昭和43年に解体され、40年あまりの時を経て当時の原設計で同じ場所に復元された。当時は美術館ではなく三菱合資会社の銀行部が入っていたが、三菱を興した岩崎彌太郎はこの地に美術館や劇場を造る夢を描いていたのだろうか、第二代社長の岩崎彌之助がこの土地を取得、(荒れ野原に洋館の「三菱が原」と名付けられた風景画も印象的だった。)一世紀を経て三菱が描いた夢の美術館が完成、三菱系企業や個人が所蔵する超有名作家のコレクション、三菱から誕生した日本郵船、麒麟麦酒の近代化の歴史を感じるポスターなど興味深い展示内容だった。
美術館としてはそんなに広くない空間だが、少し疲れて裏庭のように接する、丸の内ブリックスクエアの庭のベンチに座れば、とても小さな庭だけど「一呼吸のオアシス」と言う感じ。どちらが借景ということもなく、程よくお似合いの空間だ。

 

 
 
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