■2012年5月の「絵てがみコラム」
 

久々に会う友人から一番よく聞かれるのが「イタリアで何が一番美味しかった〜?」だ。食いしん坊の友人はみんな食いしん坊なのだ。
一人旅で一番残念なのが、余り多種類の食べ物にありつけないことだ。アルコールを飲まない私にとって、夜わざわざ出かけて行って女一人であれこれ注文するのは結構おっくうだし、外食ばかりも不経済だったりするので、パンとハムを買ってきて部屋で食べたり、パスタをゆでて出来あいのトマトソースをかけてごまかしたり、実はグルメツアーには程遠い食生活だった。
普段からパン党の私にとっては、日本食ゼロの生活も2ヶ月くらい平気で、パンパスタピザ〜パンパスタピザ〜時々リゾットてな具合だった。そんな中、特筆すべきはマテーラのパンの美味しさ。外は香ばしくかなり硬く、中はもっちり塩加減もほどよく、旅の最後だったらリュックにいっぱい詰めて帰りたかった。見渡す限りの麦畑とオリーブ畑、その麦は良質なデュラム・セモリナ粉になってマテーラのパンになる。実はフィレンツェのあるトスカーナ地方はパンが美味しくない…もちろん甘いデニッシュやクロワッサン、オリーブが入ったフォカッチャなど色々あるが、通常お料理と一緒に提供される、日本で言えば「白米のご飯」にあたる食事パンには塩っけがなく味気ない。煮込み料理など味の濃いものが多い地方ならではの配慮らしいが、マテーラなど南の人から言わせれば「フィレンツェあたりの金持ちは、パンに塩も入れない度ケチばかり」…フィレンツェの人から言わせれば「あの辺りは、貧しいからパンに塩くらい入れてやれ!」というのが永遠の論争だそうで、笑える。
他に美味しかったものは、アルベロベッロのリストランテで食べた「カボチャの花のタリアテッレ」あっさり目のクリーム味で花の苦さが春の味だった。ヴェネチアのブラーノ島で食べた「魚介のリゾット」は、具は何にも入っていないけど、魚介から出た旨味が凝縮した逸品だった。Cinziaの作ってくれた巾着型のパスタと、たらのトマト煮込みパスタ。フィレンツェ、アカデミア美術館近くCARABEのピスタチオのジェラート。学校近くのバールで頼んで作ってもらったサーモンとマスカルポーネチーズとルッコラのパニーノ、美味だった〜!
十分グルメツアーだね。今回の画像はマテーラで食べた夕食、耳たぶ型のパスタ(オレキエッテ)とマテーラの美味しいパン。
さて、イタリアから連れ帰った蛙たちを一挙ケロケロワールドにアップしました。「旅から無事カエル」を祈願して贈っていただいたモノも含め、Coffee Brake・12、No.651〜No.670、今回も個性派ぞろい。お楽しみください。

 

 
 
 

5月も後半、初夏のような日差しのここ数日。イタリアの写真を整理しながらダウンコートを着た3月の画像を懐かしく思う。
フィレンツェも日本と同じようにちょっと変な天候の春だった。3月に25度越えの日があったと思えば4月にダウンコートを日本に送り返さなくて良かった〜と思う日があったり…でも、確実に次の季節が来てイタリアでの日々が遠くなってっちゃうな〜と、すでに懐かしんでしまっている。1年の予定で留学している、学校の若き友人たちはどうしているかな〜? 忘れられないうちに、一緒に写した写真送ってあげなきゃ。
いつまでも旅の気分のままじゃあいけないと、日常を取り戻してはいるものの「お帰りなさい会をやろうよ」「お土産渡したいし」「写真見たいし〜」とか、大騒ぎして行った余波が、美味しいランチ会多発状態につながっている。やばい! 体重現状維持で帰国したのに…。友人は言う「甥っ子姪っ子のアメリカ留学の話は全然興味ないけど、同年代の女一人旅、しかもイタリア2ヶ月の旅は興味シンシンだよ」と。嬉しいことだね。いろんな経験を楽しく語り合えることは、その時間そのものが幸せなことだと思う。オープンカレッジのイタリア語講座も再開! めげずに、もう少し、ちょっとずつでも続けるかな。肩こり防止の30分筋トレも復帰。12月に東銀座での個展の企画展の話も決まった。イタリアの風に押されて次の季節が始まっている。
今回は旅の終盤、斜塔で有名なPISAでのスケッチ。本当にすっごく傾いてるのね。

 

 
 
 

帰国して2週間、すっかりどっぷり日本の暮らしだけど、ちょっと仕事がつまって肩こりが復活してしまった。イタリアでは毎日2万歩くらい歩いているのではないかというくらい行動的な毎日だったから、緊張も自然に解されていたのかも。
それに早くアルバムの整理もしたい。よく、家に着くまでが遠足よ!というけど、私の場合はアルバムの整理が出来るまでが遠足だ!と常々思っていて、記憶のホットなうちに写真をまとめたいのだ。それは負担ではなく、旅の思い出をいつまでも近くに感じていたいからかもしれない。膨大な写真データと向かい合いながら、忘れがちな中継地点の画像などが結構愛おしく思える。乗り換え時間のわずかな隙間に、駅や駅前の写真を一生懸命写していたりして…。後で見たら大した画像ではないんだけど、自分の足で尋ねた足跡が感じられて大事な1枚になっている。
今回の画像はサンマリノに行った翌日、中継地点のリミニの町を散策した時のもの。朝霧に煙る港町リミニの広場、夏には海水浴客で賑わうであろう広場に面したカフェもシーズンオフで手もちぶさた。スケッチしていたら、犬の散歩をしていた初老の紳士が私のスケッチブックを覗きこんで、何やらば〜〜〜っとイタリア語でまくしたてて、ブラーバブラーバ!と拍手してくれたっけ?
陽気で旅人に優しいイタリア人男性を私は「チャラおやじ」と呼んで、気を付けながらも楽しませてもらった。悔しいけどそれなりの年恰好の男性なんだよね〜声をかけてくるのは…。ちょっとだけ知っている日本語をしゃべってみたくて仕方無い、で話しかけてくる人も。どうやら、日本人女性が一番口にする言葉が「かわいい〜」らしく、それを連呼してくれることも。悪い気はしない。
そんなことで喜んでいたら、友人いわく私が「チャラねーさん」らしい。

 

 
 
 

イタリアからあんなにマメに更新していたのに、ど〜したの〜? まだ時差ボケ?
いえいえ。27日に帰国し、たっぷりお寿司を食べて、夕方から17時間爆睡して身も心も日本モードに切り替えました。そして依頼されていた「フィレンツェの絵」を仕上げ、ゴールデンウィークは毎年恒例の新宿伊勢丹での手描き扇子のイベントに臨んでおりました。それもなんとか終了! 今週は平常を取り戻したいところです。
イタリア滞在中はお仕事関係方面には御迷惑をおかけしました。色々なご配慮に感謝いたします。 そして様子うかがいメールや初挑戦のSKYPEなどで、友情溢れる便りに励まされました。美味しいもの情報なども。どうもありがとう! 遠く離れていてもリアルタイムで情報が飛び交う現実。今回初の一人旅でしたが、私にとっては画期的な電子機器と共に行く旅でもありました。電子辞書!ノート型PCで海外からのHP更新!WEB予約。そして友人や妹とのSKYPE(テレビ電話のようにPCで画面を見ながら無料で会話が出来るなんて!)すごい時代ですよね。
そんな中、数人の方が日本の桜の画像を送ってくださいました。日本人って本当に桜の花に特別な感情を持ってるんだなって、しみじみ。今日の桜、満開、はらはらと桜吹雪…。メールもみんな詩人のよう。
イタリアでは結局たっぷり桜を見たという実感は無く、桜のような木、桃かも、アーモンドかも?サクランボの木は背も低く、日本のソメイヨシノとは全然違った。唯一マルケ州の北部14〜5世紀に発展したラファエッロの生誕地URBINO(ウルビーノ) の丘の上から、ルネッサンス建築の傑作「ドゥカーレ宮殿」を見降ろしてスケッチをしようと思ったら、小さな桜の枝がささやかな日陰を作ってくれました。これが私の今年の花見。
「もっとスケッチ画像あるんでしょ〜?もっと見たいな〜!」という御意見を沢山いただいているので、調子に乗って、ちょっと季節外れですが、今回はその画像を。

 

 
 
 

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