■2015年11月の「絵てがみコラム」
 

イタリアの伝統菓子「パネトーネ」をご存じだろうか? お菓子というよりわたし的には、「パンとケーキの間の菓子パン」という感じだと思うのだけど。
91年初めてのイタリア旅行の帰りにミラノの空港で買った。驚くほど賞味期限が長い、ケーキみたいなお菓子を日本に買って帰れるなんて!と。デコレーションケーキくらいのきれいで大きな箱入り、ほかの乗客の視線を浴びて機内に持ち込んだ。ワクワクして…でも、あれ? パンだった? パンにしちゃあ高級…すごくおいしいけど…何これ? 初めての味で、外はこんがり、中はしっとり。レーズンやオレンジピール、レモンの砂糖漬けもたっぷり入って贅沢な香りがした。
後から知ったことだけど、15世紀ごろ北イタリアで今のパネトーネの原型となるものが作られたとか。卵黄とバターをたっぷりと使って(美味しいはずだ!)イーストを使用せず、リエビト種と呼ばれる酵母種の力でじっくり発酵させる独特な製法のお菓子なのだ。イタリアではクリスマスドルチェとして古くから愛されている。
日本でも最近は、ちょっとしゃれたパン屋さんでよく見かけるようになった。半分や4分の1に切られて売られていたりするけど、できれば丸ごと大きなきれいな箱入りで、イタリアの空気ごと持ち帰りたいものだ。

 

 
 
 

また理不尽で悲しい惨劇が起きてしまった…パリ同時多発テロから1週間。世界中が祈っても、突然意味も分からず命を絶たれたその本人は、きっと自分が死んだ理由を理解する事なんてできないんだろうな…。それでも祈ることしかできないね…こんな恐ろしい悲劇が続きませんように…。

さて、以前お知らせした初めての関西での講座、1日だけの特別公開講座ではありますが、来年2月10日(水)に決定いたしました。
・NHK文化センター梅田教室 2月10日(水) 10:30〜12:30
・NHK文化センター西宮ガーデンズ教室 同日 14:00〜16:00
梅田教室の方は24日付の朝日・読売・日経新聞の朝刊に合計約60万部!折り込まれるそうです。西宮は18日付で配布され申し込みも始まっております。詳しくはWhat's Newをご覧いただき、ご興味のある方はどうぞ、それぞれの文化センターに直接お問い合わせください。
実は私は関西出身。大阪吹田生まれ、父の仕事の関係で転勤族。故郷と呼べるところはないのですが、小学校の2年間は西宮の近くの芦屋で暮らし、梅田界隈も土地勘のあるところです。ちょっと、ドキドキと楽しみと…きっと関西弁になるやろな〜おもてますぅ。
早速申し込みました〜というメールもいただいて感激。お目にかかれるのを楽しみにしております! よろしくお願いします!

 

 
 
 

この秋は、どうやら鎌倉にとても縁があるようで再び北鎌倉へ。
色彩学校時代からの友人と京都で江戸時代から続く「染司よしおか」の吉岡コレクション「絣展」を鑑賞に。東慶寺の松岡宝蔵企画展で小さな規模ながらインド、インドネシア、グアテマラ、ペルシャ、フランスやイタリア、そして日本の久留米や沖縄のとても古い貴重なコレクション。「絣」は、なんとなく知っている染色織りもの…とはわかっているつもりでもそんなに世界あちこちで親しまれ古くからある技法とは、とても色合いが似ていたり、でも同じ赤でも全然違っていたり…。柄が妙にモダンだったり。木綿やシルクや芭蕉布など微妙な風合いの違いなど知らないことだらけ。
そしてもうひとつの目的。帽子作家の友人がオープンしたアトリエショップの訪問。東慶寺からも近い、鎌倉街道をちょっと入った小さなショップがいくつか並ぶ長屋風のつくり。彼女は「帽子小屋」と名付けて、帽子つくりのレクチャーとオーダーメイドの帽子制作をしているのだ。ちょっとレトロな雰囲気やこだわった手づくりインテリアはシンガポールのプラナカンハウスやフィレンツェの職人工房を彷彿とさせる。共通の熱意とこだわりが伝わるのかもしれない。
ここまでこぎつけるのは、とても大変だったと彼女は語る。アーティストの苦手な事務手続きや役所とのいろんな交渉事、お金の計算など。でも物件との運命的な出会いやこれからの楽しみなど目をキラキラさせて語る。その人の雰囲気に合わせて作る、完全1点ものというのも魅力的。私もいつか作ってもらおう〜スっごく素敵なのを作ってもらお〜と楽しみにしているのだ。

 

 
 
 

今週はいろんなことがあった。楽しみにしていたコンサートは終わってしまい、年末に向けての講座の準備や仕事の確認でバタバタ過ごしていたところに義理の姉が体調を崩し、緊急入院。東京での一人暮らしゆえ病院に駆けつけたり、自宅へ荷物を取りに行ったり諸手続きをしたり…。一人できっちり逞しく暮らしている義理の姉だけど、やはり高齢者の一人暮らし。「老い」についてもしみじみ考えさせられる。母のこと、自分のこと…。
初めて訪れた義姉の部屋は、シンプルでつつましい暮らしぶりが伺えた。私の荷物の100分の1も無い。私の暮らしには無駄な荷物が多すぎる。ああ!どうするんだ〜!苦手な断捨離。私が突然倒れでもしたら、誰もが途方に暮れるだろうな〜。呆れて、どこから手を付けていいやら…って。部屋の中に、小さな鉢植えも4〜5個あって生花を刺した小さな花瓶も3つ4つ…。苔盆栽の水やりも…。「紙もの」の量も半端じゃない。紙や絵の具のストックも無くなる前に補充しちゃうから、なんかいつも余分。ああ大変! この荷物のためにも元気でいなくてはいけない。え? そっち? 片付けましょう〜って方じゃないの?
ストックと言えば、今日買ってきた深い紫の「ストック」の花がとても美しい。花も枯れる前に、次の花を買ってきちゃうから水替えだけでも結構面倒だし、花は食べられないのに…花のない生活は考えられない。ストックのストックは要らない…なんて、言ってる場合じゃない。

 

 
 
 

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