■2018年4月の「絵てがみコラム」
 

巷はゴールデンウィーク、取り立てて何も予定がなく5月31日から始まる流山・蔵カフェ灯環での作品展に向けての準備、仕事のみ。3月にイタリアでたっぷり遊んできちゃったので仕方ないね!
先日、1月の恵比寿のイタリアンに続いて、たまプラーザ美しが丘のパン屋さんのためのチョークアートを描かせていただきました。店舗室内の壁面にパン職人さんのレシピメモのように、ラフなタッチでチョーク風に描きました。住宅街の丘の上に建つ素敵なお店です。26日にオープン、初日は午前中に売り切れてしまったようで…きっと人気のお店になることでしょう。目覚めたら丘の上からパンを焼くいい匂いが漂ってきたら、たまりませんね〜〜近所にあったらいいのに! お近くの方は是非訪れてみてください。詳しくはWhat's Newをご覧ください。
恵比寿のイタリアンにも、壁画見たさに?わざわざ食べに行ってくださった方多数。ありがとうございます! 陽気なイタリアおじさんサルバトーレ氏が迎えてくれます。こちらも写真をアップしました。日曜日や祝日は原則お休みなので、ゴールデンウィーク中は電話で営業日をご確認下さいね。
では、楽しいゴールデンウィークを!

 

 
 
 

アルノ川の水かさが多く、流れも速い。そうだ、3月に入ってからの思いがけない雪が穏やかなアルノ川を濁らせているのだろう。けれど夜の街明かりを映して流石の美しさだ。私にとっては5度目のフィレンツェ、若い時に来た街と、さほど変わっていないのかもしれない…。でもちょっぴり会話ができること、(いや〜まだまだ会話にはなっていないかな〜トホホ…)そして、ちょっぴり知っている人がいること、知ってる街かどが多いこと。明らかに他の旅先とは違う優しい刺激がここにはある。今回も楽しい旅ができて良かった。本当に! 又来るね! Ciao! フィレンツェ!
たった10日間のイタリア旅でしたが、あまりにギュッと内容の詰まった充実の楽しい女子旅?でしたので、描きたいことも一杯で季節も変わってしまいました。旅は3度楽しめるとよく言います。準備の楽しさ、もちろん行ってる時の楽しさ、そして帰ってきてからの余韻の楽しみ。写真を整理したり、ガイドブックを改めて見直したり、思い出話に花を咲かせたり、そして私の場合、思い出して描いてみたり…。一粒で3度も4度も美味しい。たっぷりの時間楽しめて値打ちあります。
長らく、お土産話にお付き合いいただきありがとうございました。
そして一緒に旅したみゆきさん、明美さん、真由美さん、Grazieでした〜!

 

 
 
 

1Dayトリップの最後に、車はフィレンツェ郊外の小さなお菓子屋さんの前で止まった。Barが併設されていて、近所の家族連れなどで賑わっていた。恵子とマルチェッロのお店だ! 3年前は結婚したばかりで、フィレンツェの素敵なカフェのパティシエとして働いていた。二人でお店を持つのが夢だと語っていたね。それを去年の秋に実現させたのだ! 是非立ち寄りたくてドライブのコースの最後に加えてもらった。なんだかとても嬉しくって、一杯大人買いしたかったのに結局あれこれサービスしてもらっちゃって…。みんなでアパートで美味しいね美味しいねと言いながら頂きました。Grazie! 二人で作るの、毎日午前2時半起きだと言ってた…体に気を付けて頑張ってね!
翌日、フィレンツェの街歩き。もう私にとっては観光や美術鑑賞だけの町ではなくなっているのかも…。古い町というのは教会や美術館の場所はもちろんの事、小さな老舗の店もずっと変わらずそこにあり、確かこの辺りに…と思う記憶は裏切らないのだ。
雑貨屋のおじさんも私を覚えていてくれて、私たちにチーズとワインをごちそうしてくれた。学校に顔を出せばいつもウェルカムで、笑顔で迎えてくれる。丁度頂き物のビスコッティとヴィンサントがあるから、みんなで宿で食べなさいと校長先生。6年前にたった2か月しか在籍しなかった、十分なお礼もイタリア語で言えないダメダメな生徒なのに、印象的な生徒だったそうで…感激〜(涙)再会を誓って学校を後に。近くのBarで、よくエスプレッソを飲んで登校してたのよ〜絵にも描いたBarがここよ! と、友人たちを案内したかったのだ。ご夫婦とおそらく息子さんと3人でやってらっしゃるBar。6年前と変わらぬ姿が私も嬉しく、記念撮影! 以前台湾の茶館で、描いたポストカードを持参したらすごく喜んでくれたことを思い出し、今回ももし寄れたらと持参していたポストカードをプレゼント。予想以上に大喜び! ちゃっかり4杯のエスプレッソはタダに。あれ〜?なんだか、まるで「わらしべ長者〜?!」いやいや、この手は?2度は使えないだろうけど?1枚の絵は足りない言葉を補って、余りあるほど素敵なコミュニケーションツールになってくれた。
Grazie! Grazie! って互いに笑顔で言い合えるのは素敵だよね。楽しいフィレンツェ街歩きになった。
2012年3月(6年前)の絵手紙コラム>>>
2015年7月(3年前)の絵手紙コラム>>>

 

 
 
 

今回のフィレンツェ滞在で私は特別なモノをゲットした。
かねてから欲しい欲しいと思っていたフィレンツェ最古の画材店「ZECCHI 」オリジナルの水彩絵の具、ちょっと頑張って24色のパレットを奮発した。最近日本でも取り扱う店ができたが、以前からフィレンツェのこの店で買うのが夢だった。トスカーナというシリーズで小さな固形絵の具が24個並んでいる。蜂蜜が練りこまれ、発色がよく、滑らかで伸びやかだとか…。早く試してみたいな〜そうだ! この絵をこの絵の具で描いてみればいいのだ! おお!渋い! 鮮やかな色と言うよりは落ち着いたハーベストカラー。柔らかいジェラートのような…シャープな発色というよりは、まったりと佇むような…使いこなせるかな〜楽しみに愛用してみよう…。
そしてもう一つ、6年越しのフィレンツェ木象嵌の名刺ケース! 6年前のフィレンツェプチ留学の際に知り合った、家具の修復工房で修行中だった作家・望月貴文さんの作品だ。(2012年3月の絵手紙コラム「工房探訪」)現在は独立してご自分の工房で家具の修復に限らず、オリジナルの作品も制作して活躍中。シート状にした薄い数種類の木を、絵柄に合わせて組み込んでいく…時には真鍮も…革との組み合わせも…。いつかオリジナルの作品をゲットしたいと夢見ていた。仕事を始めたころ友人にもらった黒い革の名刺入れが色あせ、もう黒とは思えない状態に老朽化していた。仕事をする身でこれはいかん!と気になっていたのだ。恵津の「E」と蛙の姿を自らデザイン。フィレンツェらしい唐草柄を蛙の背中にあしらってもらった。ベースはローズウッド、蛙はウォールナットとバーチ、カーリーメープル。「E」はマホガニー、蛙の足の水球は鈍いゴールドの真鍮だ。使い込むうちにきっと、益々味わい深い色艶に育つに違いない。世界で一つの特別なモノを受け取りに再びフィレンツェを訪れた…という訳。
あこがれを実現させるということは、値段の何十倍もの値打ちがあると思う。心の贅沢は、いろんなことを節約してでも必死で手に入れる価値がある…そう思う。望月氏のブログを時々フィレンツェの空気を感じたくなったら覗いたりしている。

 

 
 
 

アンギアーリから東へ8キロほどSANSEPOLCRO(サンセポルクロ)という可愛い名前の街に立ち寄った。
「恵津さん、お花が好きだとおっしゃっていたし、絵のモチーフになりそうなものが一杯ありそうな野草の博物館があるので」とフィレンツェ在住のChi hoさんが薦めてくれた。そこは小さいながらも、野草が薬として長く根付いてきた歴史と生活への浸透を細やかにまとめられた、とてもいい感じの博物館であった。地元の小学生の社会科見学と鉢合わせになって少々にぎやかだったけど、そんな出逢いも旅の醍醐味だ。たくさん写真も写してきたので、その野草の博物館で得たインスピレーションは、いずれ作品制作に活かしたいと思う。
そこと同じくらい印象的だった昼食の話をしよう。1807年創業?広い邸宅のダイニングのような店内には、いぶし銀とクリスタルの大きなシャンデリア。テーブルにはドライのオリーブの枝、焼きたての数種類のパンがすぐに運ばれてきた。食器はぽってりとした難しい色合いの分厚い大皿…洋書のインテリア雑誌のよう。私たちは知ってる単語や、知らない単語をあれこれ推測して、珍しそうなメニューを選んで注文してみた。盛り付けられた料理は只者ではない気配なのだ。古代の黒米のリゾットは白いリコッタチーズとゴルゴンゾーラのソースがかかっていて、モノクロームな一皿。紫キャベツのグリルも、大人っぽい苦みで、見栄えも味もみんなをうならせた。何? この紫色のニョッキは? ピンクや黄色の花びらが…ハーブのニョッキ? アクセントになる歯ごたえはクルミ。どれも初めての味なのに、なんだかすごく美味! きっと古くからの町の名店に違いない。見知らぬ遠い遠い町で出会ったここでの昼食は、忘れられないものになった。

 

 
 
 

今回の私のリクエストは、トスカーナの田舎町「アンギアーリ」に行ってみたい…だった。以前ちょっと仕事がらみでレオナルドダヴィンチの「アンギアーリの戦い」に縁があり、イタリアの小さな美しい町のリストにもある、そのアンギアーリを訪れてみたいとずっと考えていたのだ。地図上ではフィレンツェから、そう遠くはないけど交通の便は良いとは言えず、今回は4人だからこその贅沢?で専用車での1Dayトリップに組み込んでもらって出かけることに。
1時間半ほどで到着したその丘の上の街は、なんだか時間が止まったような…絵本に出てくるような…ああどうしてこんな雰囲気のある街角が残っているのだろうか…雨に濡れた古い石の階段もなんだか素敵! きっと女性好みなのにまだまだ知られていない。ガイドブックにも全くと言っていいほど登場していないのだ。
1400年代トスカーナのアンギアーリ村でフィレンツェ共和国とミラノ公国の争いが勃発。この地の橋をめぐっての熾烈な争いを「アンギアーリの戦い」と呼ばれ、勝利したフィレンツェ共和国の行政長官が戦勝画をダヴィンチに依頼。フィレンツェのヴェッキオ宮に飾られるはずが完成を見ることはなかった…という。幻の迷画?の舞台になった戦場跡、それがアンギアーリという町なのよ〜と皆に説明していたものだから、田舎ののっぱら…をイメージしていたらしく予想に反した、素敵な街角に皆感激していた。

 

 
 
 

サンマリノからフィレンツェのアパートに到着したのは3月5日の夕方。もうひと月前の話になってしまいましたが、私たちの間では旅の余韻はとても濃く、いまだにフィレンツェでの日々をいろいろ思い出して話題に上る。その最大の要因がこのアパートにあるのかも…。DUOMOから歩いて5分ほど140平米超えの広々アパートのテラスからの眺めがこれである! webでちらりと見た、このアパートの予約を取ることから今回のイタリア旅を組み立てたと言っても過言ではないのだ。全員フィレンツェは初めてではなく雑誌のキャッチコピーのように「暮らすように旅するフィレンツェ」を実行するぞ〜!と後半4泊のフィレンツェ滞在にアパート暮らしを選んだ。近くのスーパーで買った花を飾って深夜に到着するもう一人の友人を待った。入口は狭くて薄暗い古い建物「Buonasera 〜〜Benvenuto!〜〜」と私たちが部屋のドアを開けるまではきっと不安で一杯だっただろう。後半参加のMさんは京都→伊丹→羽田→成田→ローマ→フィレンツェ空港→そしてアパートまで長い初めての一人旅だった。そんな彼女の歓声が上がった! たった4泊だけど楽しい滞在になりそう!
立派過ぎるキッチンで煮焚きを特にすることはなかったけど、市場でハムやチーズを買ったり、私の大好きな冬野菜プンタレッラも丸ごと買ってサラダにしたり…そんな買い物もイタリア語で挑戦。4人いれば何とかなるもので、思い出せない単語を補いながら。そして時には荷物を置きにアパートに戻り、それぞれに休憩…私はスケッチをしたり、読書をする人、一人で考古学博物館に出かける人、お茶する人…。そんなことが楽しいフィレンツェ。フィレンツェのお土産話はまた終盤で。

 

 
 
 

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