■2019年7月の「絵てがみコラム」
 

かねてから1度は見てみたいと思っていたフィギュアスケート。競技大会ではないが、友人が誘ってくれて思いがけずそれは実現した。
梅雨明けではないの?と思わせる暑さの中、涼しいアイスリンクが作られた横浜アリーナに入れるだけでもラッキーだが、豪華な出演者にドキドキだ。高橋大輔主演、宮本亜門演出の「氷艶」、源氏物語をヒューチャーしたアイスショーで、私の席は遠いスタンド席だけど真正面で見やすい。氷上から立ち上がった壁に続く映像も美しく、4年前ミラノ万博の日本館で見た、「和」にこだわった映像美を思い出した。メダリストのステファン・ランビエルやユリア・リプニツカヤをはじめ荒川静香や鈴木明子などの流れるようにきれいな滑りだなと感心する一方、アレンジした和装の衣装はジャンプして回転して…というのはさぞかし大変だろうな〜と思ったり、刀裁きやら歌やら、空を飛んだり氷上を滑り去ったり…盛りだくさんなエンターテイメントだった。
氷上が雅な都になったり、大海原になったり、盛大に和太鼓が登場したりするさまを見て、オリンピックも1年後に迫り、開会式の演出などきっと着々と進んでるんだろうけど、どんどん見るほうのハードルも上がってちょっとやそっとじゃ驚かないだろうな〜大変だな〜どうする日本!と思いをはせたりした。

 

 
 
 

7月20日…誕生日だわ〜昔から晴れの得意日で、カンカン照りの梅雨明け! そんな日だったのに。今年はまだまだ不安定な天気で梅雨明けしそうにない。
1年の早いこと! また歳を取ってしまうのね…と、ため息ついていたら、昨日ちょっとショックな電話が…。先月、老舗の喫茶店のリニューアルに際してお店の入口に春風をイメージした畳1枚分ほどの壁画を描く仕事をやった。設計士であり空間をトータルにデザインしたデザイナーさんのご指名で、仕上がりも気に入ってもらっていた。そのデザイナーさんが電話口で私に平謝り、オープン1か月余りで自分にも断りなく店の店主がその壁画を白く塗りつぶしてしまったと言うのだ。!!!え? 何があったの? 風水的にどうのこうのと言って…というのだ。風水…。確かにお商売をしているアジア圏の人は特に気にする人が多いと聞く。冷え込む隣国との外交問題が影響しているとは思えないが、ちょっと呆然としてしまった。何かとても気に入らないところがあったのだろう。私もプロだからコミュニケーションを取ってもっと意見を言ってくだされば、いかようにもやったのに…。長年仕事で描いてきてこのようなことは初めてだ。万人が私の絵を好きだとは思わないけれど、今週あたり写真をアップしようと思っていたのに…。ひと月余りで姿を消した絵がちょっとかわいそうに思えてくる。それにしても、私にはともかく、時間をかけて全体のことを考えていたデザイナーさんには一言あってしかるべきでは無いだろうか? 極めて無礼ではないか! 私との板挟みで気の毒じゃないか!…と。
そんなわけでちょっとため息の1日だった。あ〜あ。色々ありますね。ため息をつくと歳を取るって言うけど、ええそうでしょうよ! 言われなくても今日は誕生日。新しい1年に期待!
先日の清澄庭園「涼亭」でのワークショップの様子をWhat's newにupしました。心が静かになる良い感じの写真ですよ^^

 

 
 
 

夕べからの雨をたっぷり含んだ上に、朝からやまない霧雨…美しい庭は苔も青々とむして、葉はてかてかと光っている。朝の空気が7月とは思えない冷気。回遊式林泉庭園の清澄庭園は大きな池を囲んで緑の大きな箱庭のようだ。参加者の足元を気にして晴れてくれることを望んでいたけれど、何だかしみじみ、しっとりした雨も悪くない。
池に突き出るように建てられた数寄屋造りの建物「涼亭」は2005年に東京都選定歴史的建造物に選定されている。27畳敷の和室でゆったりと愉しむワークショップ、誰もが贅沢な時間だね〜と感動してくれた。廻り3方を緑陰の水面に囲まれているのだ。軒から垂れる雨音を聴きながら団扇に筆を走らせる。霧雨にかすむ緑の丘もいいね。名石の脇の雑草さえも風情がある。松の枝はググっと力強く。名残りの紫陽花も緑以外の貴重な彩りだね。私の手本やアドバイスより、目に映る今だけの景色が何よりも絵心を掻き立てらせる。
築地から取り寄せた素朴なお弁当に舌鼓を打ち、一日たっぷりの「庭園絵てがみ巡り・第1回清澄庭園」編が無事終了した。春先から彩時気のメンバー3人で色々計画して実行できた、私たちにとっては大きなイベントだった。参加者の感想は大変好評で、関西から参加してくださった方、会社やパートを休んで参加して下さった方、ワークショップ皆勤賞の方も初めての参加の方も、素敵な一日だったとアンケートに記してくださった。思い切りうなづいた参加者の声を一つ。「雨は鬱陶しいものだけど、今回の皆さんの作品&パワーに触れて、雨を楽しむ余裕を持った大人になろう…なんて思ったりもした、いい1日でした」…と。
6月の「彩りと墨にたわむる」に引き続いてのワークショップ開催で、色々案じていた私たちも、心からの感謝と安堵です。ありがとうございました。

 

 
 
 

明日は七夕だけど…重い空の色。梅雨空ですね〜。しかし比較的過ごしやすい週末だ。蒸し暑さが一休みしている。
野菜の産地直売店で青々としたペパーミントの束を見つけた。「有機栽培・モヒートなどに」と手書きのPOPが。また腹の足しにならないものを買ってしまった! 私はモヒート用ではなく、ミントティーを。モロッコのミントティー用のグラスもあるじゃないか! 直伝の生ペパーミントたっぷりのティータイムと洒落込もう。もっとも、モロッコのミントティーは緑茶だけどここは濃いめの紅茶に角砂糖。たっぷりペパーミントの葉をグラスにちぎって、ちょっと高い位置から泡立てるように紅茶を注ぐ。ふむふむ。残り物のクッキーも絵になるじゃないの。ペパーミントの半分はひまわりとオリーブの枝と一緒にフラワーアレンジメント。オリーブの枝は6月初めのワークショップの折にスタッフが自宅の庭から切ってきてくれたもの。持ち帰ったらまだ青々と。一緒に差していた花はどんどん入れ替わっているのにこのオリーブの数本の枝は元気に残っているのだ。今度はペパーミントとひまわりと一緒に、爽やかなフラワーアレンジメントになった。
ペパーミントの葉を少しもむと机の廻りに爽やかな香りが広がった。暑くてもグラス一杯のミントティー。上の方をつまむように持って何杯もお替りするんだよね。モロッコ旅の時のガイド・ハフェッドさんが入れてくれたミントティーを思い出す。(モロッコのお土産話の絵てがみコラム2014年6月2014年7月)もう5年も前なのね…月日が経つのは恐ろしく早いわ〜などと思いながらもたもた描いていたら、クッキーはすっかり湿気てしまった。

 

 
 
 

 <<<6月

8月>>> 
 
▲TOP
■COLUMN ●HOME