■2012年1月の「絵てがみコラム」
 

都心の空に雪が舞い降りた翌日、1月24日。360度2階スタンドのてっぺんまでぎっしり、13,000人の観客で埋め尽くされた日本武道館に私はいた。41年前のザ・タイガースの解散公演には居なかったけど、41年後の同じ日、同じ日本武道館のアリーナ席で、懐かしいメンバーの集ったコンサートに私はいることが出来た。観客の年齢層は高い。舞台の上ももちろん。時の経過や「老い」や、懐かしさや友情や…一言では言えないいろんな人生模様が集結したような、あったかい時間だった。
彼らも言う、時がたっても心のどこかに変わらず、青々と育っているものがある。そしてそれを共に感じあえる時間を一緒に過ごしてくれてありがとう…と。一緒に過ごしてくれて…というのが、20数曲、2時間半ほどの公演時間のことだけではないことを、みんな分かっているから。
なんだか本当に、心がほんわか…幸せな時間だった。そんな風にしみじみ思えることって、そうそうないと思う。尊いことだと思う。空気が凛と張りつめて肌を刺すような寒い夜。多くの人が、ぽかぽかの気持ちをお土産に九段の坂を下りて行った。

 

 
 
 

あら?まだ年賀状?と言われそうですね。先週末、大好きなお姉さんのお見舞いと野暮用を引っ提げて、駆け足で京都・大阪・名古屋を訪れた。
京都は去年の秋にも行ったばかりなので、今回は「新春龍詣で」に的を絞り、京都最古の禅寺と言われる建仁寺で、10年前に創建800年を記念して小泉淳作画伯によって描かれた天井の双龍図を見ることに。本堂の中で見上げたそれは、とても力強く、しかし少しコミカルな表情で、雲を散らし、雷を呼び、雨を降らせんばかりの迫力で迫ってくる。まだ筆跡も鮮やかで墨の濃淡もくっきり!古い都の中で、まだ歴史の始まったばかりの作品を見るのも新鮮な気持ちになる。
もうひとつ、京都御所の北にある相国寺にも龍の天井画があると楽しみに出掛けたが、法要のタイミングで残念ながら法堂には入れず、天井の真下で手をたたくと、まるで龍が鳴いているように響くと言う(龍の鳴き声など誰も知る由もないが…)「鳴き龍」との御対面は叶わなかった。扉のわずかな隙間から、写真を一枚だけ撮ってみたら、それが意外にしっかり写っていて、板張りの天井に、大蛇のごとく描かれたこちらの龍も迫力があり、ちょっと渋い感じであった。
昨年の夏から、年賀状の仕事や絵画教室で何度も描いた私の龍の絵とは大違いだが(比較してど〜する!)辰年の初めの「龍詣で」。自分に渇を入れるには、肌を刺すような冷たい空気とともに新春らしい良い体験であった。

 

 
 
 

女の言うことを真に受けないで欲しい。「きゃ〜かわいい!少しずつ色々、きれ〜!」と言うのは、「あれ〜?せこ〜い、ちょっとずつ過ぎる〜足りな~い!」と、イコールの場合が多い。
神楽坂の黒塀の料理屋、夜にはちょっと足を踏み入れにくい所だけど昼御膳だったら手が出せる。…がしかし、女子供にはちょっとずつ色々美しく盛っておけばいいんだと言わんばかりのキャラメルサイズの御馳走。ひとつずつ丁寧な作りでとってもおいしいんだけど、残念なことに味わう間もなく口の中からあっけなく姿を消す。ご飯おかわりどうぞ〜と言われても、おかずもう無いし…。場所やら雰囲気やら、これでも努力のたまものなんだろうけど、一番安い材料ので良いからもう2口3口景気よく盛ってよ!とお願いしたくなる。ま、もっとも、この後引き続きケーキとコーヒーってパターンを重々承知…ってことかもしれないが。
ああ。食いしん坊の望みは絶えない。ごめんよ〜。

 

 
 
 

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

三が日、実家でのんびり過ごした後は今年の初仕事、マンションのエレベーターホールに花の絵の壁画を描くお仕事。3日間都内の新築マンションに通った。3メートル×2メートルくらいの白い壁。マンションのオーナーさんが一階で化粧品店とエステルームをお持ちで、マンションに住む、住人とエステルームへのアプローチとして、明るい気持ちになれるような華やかな壁にしたいと言うリクエスト。ピンクやクリームイエローを中心にしたやわらかいトーンと、ざっくりタッチで花が気持ちよく薫るような…そんなイメージで仕上げた。
底冷えも寒風も、工事途中の作業音もなんのその。こういう現場には慣れているのよね〜。物が出来上がって行く途中に携われている制作班みたいで、大変だけど、やっぱり現場対応が好きなのです。大きな絵を描くのも時々は必要だな~と感じる。自分の腕も気持ちも伸びやかに解放されるそんな気がするから…ありがたい今年の仕事始めでした。感謝です!

さて、今年はどんな年にしましょうか?
少しでも笑顔の多い年にしたいですね。いい年にしましょう〜!

 

 
 
 

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