■2017年5月の「絵てがみコラム」
 

春先から関わっていた「なぞり描き」のお仕事、いよいよその本が出版されました。「筆ペンでなぞり描き鳥獣戯画と国芳の猫、北斎漫画」(日本文芸社刊)ご存じの名画を私が筆ペンでなぞり描き。そして淡く印刷、それをベースに気軽に筆ペンでなぞって描いてみましょう〜!というもの。近年の大人の塗り絵や写経、仏画の写し書きのブームに乗って趣味の入口に誘う…そんな本になっているかと。監修は山種美術館特別研究員の三戸伸惠さん。読み物としてもポイントポイントの解説も面白く、鳥獣戯画ファンでも知らないことだらけだったな〜と反省! 謎ときも楽しめます。私は描き方として気が付いた点をアドバイス、筆ペンの力の入れ方とかね。本当は筆ペン苦手だったんだけど…頑張りました。
描いてみて歌川国芳や葛飾北斎より、やはり鳥獣戯画(作者不明)が私自身の筆の流れ具合に似たものがあるような…おいおい! 国宝「鳥獣戯画」を師弟扱いしてどうする!? いえいえ!なぞり描きすると、ちょっと「のり移り感」があるのかも? そんな気分を楽しんでもらえるかもしれません。
出来上がった本を見て、丁度2年前、東京国立博物館で並んで並んで4時間がかりでご対面した国宝「鳥獣戯画」に関われたこと、蛙マニア(カエラー)として、なんだかじんわり…感激しています。詳しくはWhat's Newで。全国の書店、Amazonなどでお求めいただけます。

 

 
 
 

都心のホテルの、小さな坪庭に降る五月雨を眺めながら一口ずつがとってもおいしい懐石膳に舌鼓。半年ぶりの旅やアジアンテキスタイル、エスニック小物を語る会…のような集いに参加して美味しい時間を過ごした。こういう美味しいものをいただけるのも健康あってこそなのよね〜。
実は昨年秋から2年ぶりくらいに受けた内視鏡検査で、何やら気になる部分が…ちょっとややこしい難しいところ。聞いたこともない病名。念のため半年後にもう一度。それが春…バリューム100回飲んでも見つからないような「小さな疑惑」らしく、大学病院の名医を紹介された。三度内視鏡…。そのような大病院の専門医には全国から「小さな疑惑」の患者が集まるもので結果の報告を聞くまで1か月以上の時間を費やした。
その間たぶん心配ないよと言われてはいたものの、時間がある分色々悪い方にも考えてしまうもので、親より先に逝ったら親不孝だよね〜とか、この部屋中の荷物どうしましょ〜蛙グッズ1000点…^^;お教室の仕事とか迷惑かけるだろうな〜個展のドタキャンはやばいよね〜とか…。そうかと思えば、どうせ病気だったらげっそり痩せるだろうから今はたくさん食べて太っておこう〜とか、コンサートのチケットはもう来年の1月分まで申し込んであるから、とりあえずそこまでは意地でも生きられるだろう!…と根拠のない自信があったりして。
人は不思議なもので、深刻な病名が自分の前にちらついた時に初めて、自分は若いわけではない…でも十分に生きた…というほどの歳でもない。もう少し元気でいさせてもらえないものだろうか。神様はどんな判断をするのかな〜…と。ちょっと客観的に、その判断に賭けをするような気持ちで、この半年を過ごした。
そして今日先生の口からあっさりと「何ともない!大丈夫! 何処も問題なし! 怪しい腫れも正常の範囲。OK! もう来る必要なし」「え〜〜?本当ですか〜? ダイエットもしなくていいですか?(なぜ?こんな質問を?)」「???それはあなたの問題で。この病気には全く関係なし」…。という訳で。今のうちに食べておこう〜と思って食べたものが、お腹のあたりに脂肪として残っただけですが。とりあえず良かったであります!

 

 
 
 

好き嫌いにかかわらず、同じ時代に生きていて見ておくべき…と思えるARTがあるものだ。
ダリやピカソは死んでしまったけど草間彌生はまだ健在で今なお精力的に制作を続けている。何度かその作品は目にする機会はあり、先日も銀座にオープンしたGINZASIXの吹き抜け空間に彼女の作品がどどど〜〜ん!とぶら下がっていたのを見た。水玉だらけの気持ちがいいとは言い難い作品群だが、それらは圧倒的で時には楽しく時には苦悩に満ちているような…独自の道を貫く色の洪水である。会期終了もまじかの国立新美術館、予想通りとても混んでいた。外国人も多く年齢層も広い。「今だかつてない刺激だ〜!」と興奮してるのは横で見ていた小学生。スマホでの撮影OKも(最近増えたね〜撮影OKのコーナーがある美術展)美術館は静かに鑑賞するもの…という概念をだいぶ覆しているのかもしれないが全体が興奮している感じだ。ふと見たらすぐ横に黒い帽子に水玉のスカーフの細〜い萬田久子! 混んでいたので自由が利かずそのままずっと同じペースで並んで鑑賞。あっちもこっちも刺激的なひと時である。
この日はランチを挟んで「ミュシャ展」も。人気の美術展の贅沢なダブルヘッダーだ。同じ美術館であまりにも対照的な画風のアルフォンス・ミュシャの世界。高校生の頃から大好きだった。デザイナーとしても卓越した才能の持ち主で花と女性のロマンチックなポスターなどアールヌーボーの星だ。チェコを旅行した際にも多くの彼の作品を目にする機会があり、建物の様式美を町で実際に見てそれら作品を見て…なるほど〜と深く納得したものだ。今回の展覧会ではとてつもなく大きな「スラヴ叙事詩」の作品群に圧倒される。ほぼ100年くらい前に描かれたなんて信じられないすごい作品だ。チェコからどうやって運んだんだろう…ってシンプルな疑問も感じながら本当に刺激的な一日だった。

■4月29日に開催されたワークショップの様子をWhat's Newにアップしました。次回夏編は7月22日(土)に決定しました。
■「ART BOOK OF SELECTED ILLUSTRATION 和モダン」
和風・和モダンを得意とする様々なジャンルで活躍中の作家94人の作品集。5月15日よりamazonにて発売開始。一般の書店では販売されません。

 

 
 
 

今年のゴールデンウィークはさわやかな五月晴れに恵まれた。私は実は初日のワークショップ、今日はちょっと音楽劇の鑑賞、明日は妹夫婦の車で母と一緒に益子焼の陶器市に行く予定。最初と最後だけで…真ん中は掃除、洗濯、仕事…。外出無しののんびり連休。ベランダから今日もいい天気ね〜と出かける人の見送り組だった。なので今週は何を描こうか…と思っているうちに、曜日感覚を失ってホームページの管理人さんから「あら〜?今週のコラムは?まだ届かないけど…」と言われるまで気が付かなかった! もう土曜日も終わろうとしている…。
2〜3日引きこもっているうちに、道路の縁のつつじの花が満開で〜。この季節になるといつも思い出すことがある。4月に入学した桑沢。(当時はかなりの競争率を突破して合格したデザインの専門学校だ)連日の課題の多さに実はクタクタになってやっと迎えた連休。先生は「この連休明けに渋谷駅や原宿駅から、どっちを向いて歩いて来るかで将来が変わるんだよ」と言っていた。学校は渋谷と原宿の中間にあり、オリンピック競技場の脇を通る。むせかえるような濃いピンクのつつじが咲き乱れて、美しい通学路だがその周りには遊ぶ誘惑が一杯あるのだ。入学して1か月、クラスメートがみんなすごく優秀に見えて、自信を無くし、課題の制作に疲れ、遊びの誘惑に負けて…学校に来なくなる、いわゆる五月病の生徒が続出すると…。誘惑に負けちゃあいけないんだ!とせっかくの魅力的な通学路の表参道を速足で、ひたすら学校に通った日々を思い出す。すぐに要領よく、わき道に入ったり、遊ぶことも覚えたんだけどね。
五月晴れ…満開のつつじを見るとそんな青春の日々を思い出す。と言いながら絵は薔薇! にじみの練習のために先日描いたものを転用。すみません〜。

 

 
 
 

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